きっかけは飲み会の席でのとある先輩の一言だった。
「よし、さっけー。ゴルフかサーフィンか釣りか、どれか一つ選べ」
初期投資と、面倒臭さと、かかる手間と。
いろんなことを考慮して、あわよくば返事を有耶無耶にしようと考えを巡らせたが、時間はそれを許さなかった。
先輩の若干焦点のずれた真っ直ぐな視線に耐えられなくなったボクは、咄嗟に「釣りで」と返した。
が、答えてしまったが運のツキ。
多少呂律の怪しい先輩がすぐにこう返した。
「じゃあ、明日早速行こうか」
たしかにそう言ったんだ。
聞き間違いであること、そうでなければ先輩の記憶が南アフリカくらいまで飛んでることを
切に切に祈りながら、その日ボクは家路に着いた。
次の日の朝、ボクはケータイの着信音で目が覚めた。
画面には昨日登録したばかりの先輩の名前が表示されている。
「おはよう。9時半にさっけーの家の近くのコンビニで待ってるわ」
聞き様によってはストーカー的な何かとも聞き取れるこのことばに、ボクは戦慄した。
ボクの貴重な休みが…。
今日は古本屋を巡って、DVDを借りて、食糧を買い込んで
昼間からビールを飲みながら素敵に引きこもるという、有意義な休日を過ごそうと思ってたのに。
もう煮るなり焼くなり好きにしてくれ。
半ばヤケ気味にボクはセブンイレブンへ向かった。もちろん、けっしていい気分ではない。
いやに饒舌な先輩の車に乗って、到着したは青島港。
7時間という時間を費やした釣果がこれ↓
何でもベラというそうで釣り人の間では邪道と言われているけれど、しっかり調理すれば意外とおいしいらしい。
半日の間煮て焼かれて好きにされたボクは、帰ってそれを調理する元気もなく先輩にあげることにした。
この他にちっちゃいフグが何匹か釣れたけれど、餌取りと呼ばれる(二重の意味で)食えない彼らは海にリリース。
ちなみに先輩はカサゴを3匹ほど釣っていた。
思っていたほど釣れなかったのか来るときよりも多少無口になった先輩に家まで送ってもらい
ボクの長い長い一日が終わった。
そして、何度洗濯しても取れなかったタオルの魚臭さがようやく消えた今日。ボクは無性に釣りに行きたい。
果たしてボクは釣りにはまってしまったのだろうか。
とりあえずそれを確かめるべく、近いうちに2戦目に参加予定でござい。
最後に、ちょっと面白かったので。このシュールさがたまらない。
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